テレワーク導入に使える補助金とその種類を解説

仮想デスクトップコラム
  • テレワーク

  • 2021.09.21

テレワーク導入に使える補助金とその種類を解説

働き方改革の実現に向けて最も効果的なアプローチと考えられている「テレワーク」。すでに多くの企業がテレワークの導入により、業務効率向上や残業時間の削減に成功しています。官公庁や自治体などではテレワークの実態調査が実施されており、その結果を基にテレワークの現状やテレワークに関する助成金についてご紹介します。

数値でみるテレワークの現状

新型コロナウイルスの感染拡大とともに、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など、感染予防として人との接触・交流の制限が常態化しつつあります。そして厚生労働省や東京都などの地方自治体は、テレワーク導入に対して助成金制度を整備しています。各所で推奨されるテレワークの導入実態はどのようなものになっているのでしょうか。

まずは、テレワークに関するアンケート調査ではサンプル数(調査規模)4万人と最大規模を誇る、国土交通省による「令和2年度テレワーク人口実態調査(※1)」(2020年11~12月に実施)を中心に、テレワークの状況・実態を確認していきましょう。

※1 国土交通省「テレワーク人口実態調査」
https://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000072.html

新型コロナウイルス感染症拡大以前では、テレワーク導入に至った背景・目的は、多岐に分散されていました。BCP(事業継続計画)対策、多種多様な働き方の推進と生産性の向上、女性の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進など、企業によってさまざまな傾向がありました。一方、国交省による2020年11~12月の時点での調査では、テレワーク実施のきっかけについて、「新型コロナウイルス感染症対策」が約85%(会社からの指示・推奨等79%、自主的6%)、ついで、「柔軟な働き方による時間の有効活用」が約5%と、新型コロナウイルスの感染症拡大がきっかけでテレワークを導入した企業が、圧倒的に多いことが分かります。

テレワークは実際のところ、どれくらい普及しているのでしょうか。雇用型就業者のうちテレワーク制度等に基づくテレワーカーの割合は、2019度の 9.8%から、2020年度の19.7%と約倍増しています。全就業者におけるテレワーカーの割合も、2019年度の 15.4%から、2020年度の22.5%と、約7%向上しています。

続いて、2021年4月7日~4月13日の期間、アスクルが全国4070事業所で実施した、「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題(※2)」に関する調査を見てみましょう。その調査内容は業種別のテレワーク導入率になります。

※2 アスクル株式会社「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題」
https://release.nikkei.co.jp/attach/610244/02_202105141033.pdf

従業員規模別に行われたテレワークの導入率に着目すると、従業員規模が小さい順から、1人から4人で23.7%、5人から9人で23%、10人から19人で29.9%、20人から29人で27.9%、30人から39人で31.7%、40人から49人で32.8%、50人から99人で40.1%、100人から499人で56.7%、500人以上で86.8%でした。従業員規模が少ないとテレワーク導入率が低く、逆に従業員規模が大きい企業は、テレワークへの対応がおおむねできていることがわかります。

地域別のテレワーク導入の実態はどうでしょう。冒頭でお伝えした「令和2年度テレワーク人口実態調査」の内容に戻ります。
どの地域も2019年度より上昇し、特に首都圏で大幅に上昇しています。地域別では、雇用型就業者・自営型就業者ともに、相対的に首都圏が高く、地方都市圏で低くなっています。雇用型就業者のテレワーカーの首都圏における割合は、2019年度が18.8%だったのに対して2020年度は34.1%、地方都市圏では、2019年度が14.8%で2020年度は23%と、いずれも上昇しています。その一方で、自営型就業者のテレワーカーは首都圏で、2019年度の25.2%から2020年度は24.8%と、地方都市圏では、2019年度の20.5%から2020年度は18.9%とほぼ横ばいからやや低下しています。どの地域でも、通勤時間が長い人ほど、テレワーカーの割合が高くなっています。通勤時間が長い就業者がテレワークを利用したほうが時間を節約できて効率的で、企業にとってはさまざまな費用を抑えられ、双方ともメリットが大きくなることがその理由といえるでしょう。

資本主義は継続的な経済成長を前提に設計されているといわれます。産業革命以降、技術革新を繰り返すことで、経済成長は持続されてきました。言い換えると、なんども繰り返されてきた技術革新なくして、継続的経済成長はありえなかったはずです。電気、自動車、パソコン、インターネットや、最近で言えば、シンクライアント・仮想デスクトップなどのテレワークを支える技術も、その技術革新に含まれているでしょう。

※3 東京都『テレワーク「導入率」緊急調査』
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/05/12/documents/10.pdf

3月時点でのテレワーク導入率は24%だったのに対し、4月時点では62.7%と大幅に上昇しており、迅速に対応したあとがうかがえます。緊急調査以降も、毎月導入率の調査が行われていますがいずれも高水準を維持しています。従業員規模別でみると、小規模企業(30-99人)では、3月時点で19%、4月時点では54.3%。中小企業(100-299人)では、それぞれ25%から71.9%に、大・中小企業(300人以上)では、それぞれ44.6%から79.4%となりました。従業員規模が大きくなるにつれて、導入率も上がっています。これは「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題」に関する調査結果とも整合性がとれる内容です。

テレワークの課題と助成金

先に触れたアスクルが全国4070事業所で実施した「テレワークの活用における実施率や導入に伴う課題」に関する調査(2021年4月7日~4月13日で実施)でも、2020年3月と4月で実施した東京都の緊急調査でも、浮き彫りになった課題は従業員規模がそれほど大きくない中小企業のテレワーク導入率向上だといえるでしょう。

テレワーク導入には初期費用と時間がかかります。従業員規模とともにビジネス規模が大きい大企業に比べ、中小企業にとってはハードルが高い傾向にあります。導入率の低さがそのハードルの高さを物語っていると言えるでしょう。そこで、導入コストを抑えることができるテレワーク導入に関する助成金制度を活用するのは、有効な選択肢の1つとなり得ます。コロナウイルス感染症の流行が収束した後でも、テレワークが標準的な働き方の1つとなり続ける可能性を考えると、まだ助成金制度が存在しているうちに、導入しておくことをお勧めします。

助成金の種類

テレワーク導入に関する助成金制度には、厚生労働省や東京都などの地方自治体、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)による中小企業を対象としたものなどがあります。厚労省の助成金制度の募集は現在締め切られていますが、また再募集する可能性は十分にありますから、現時点で募集中の東京都、中小機構の助成金制度と併せてご紹介いたします。

厚労省の助成金制度では、「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」と「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」の2つを紹介します。

東京都の助成金制度では、「【東京都】テレワーク促進助成金」を紹介します。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の助成金制度では、「IT導入補助金」をご紹介します。

【厚生労働省】働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

概要

時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善(※)及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。

※「労働時間等の設定の改善」とは、各事業場における労働時間、年次有給休暇などに関する事項についての規定を、労働者の生活と健康に配慮するとともに多様な働き方に対応して、より良いものとしていくことをいいます。

対象の企業

業種ごとに異なりますが、資本または出資額(3億以下~5000万以下)と常時雇用する労働者数(50~300人)で決まります。

支給対象の取り組み

下記のいずれか1つ以上を実施する必要があります。

  • テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)によるコンサルティング
支給条件

支給対象の取り組みは、以下の「達成目標」を目指す必要があります。

  • 1カ月から6カ月間の評価期間を設定し、評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施すること
  • 評価期間において、対象労働者が在宅又はサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した回数の週間平均を、1回以上とすること
助成金額

成果目標を達成状況により変わります。

  1. 成果目標を達成の企業

    補助率:3/4

    1人当たりの上限額:40万
    1企業当たりの上限額:300万

  2. 成果目標を達成の企業

    補助率:1/2

    1人当たりの上限額:20万
    1企業当たりの上限額:400万

募集状況・期間

第3次募集終了

詳しくは引用元の下記のサイトをご参照ください。

厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html

【厚生労働省】働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)

概要

新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークの新規導入に取り組む中小企業に助成します。

対象の企業

緊急事態宣言発令地域内の事業所で、テレワークを新規で導入する中小企業事業主で、テレワークを実施した労働者が1人以上いること。

支給対象の取り組み

下記のいずれか1つ以上実施。

  • テレワーク用通信機器(※)の導入・運用
  • 就業規則・労使協定等の作成・変更
支給条件

テレワークを新規導入し、実際に実施した労働者が1人以上いること(少なくとも1人は直接雇用する必要があります)。

助成金額

補助率:1/2

1人当たりの上限額:100万
1企業当たりの上限額:400万

募集状況・期間

第3次募集終了

詳しくは引用元の下記のサイトをご参照ください。

厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)」 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html#3zibosyuu

【東京都】テレワーク促進助成金

概要

都内中堅・中小企業等のテレワーク機器・ソフト等の環境整備に係る経費を助成します。

対象の企業

常時雇用する労働者が2人以上999人以下で、都内に本社又は事業所を置く中堅・中小企業等。

支給対象の取り組み

「新しい日常」の働き方であるテレワークの定着・促進に向け、都内中堅・中小企業等のテレワーク機器・ソフト等のテレワーク環境整備。

支給条件

下記を満たす必要があります。

  • 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること(2021年9月6日付以降の申請企業は不要)
  • 都が実施する「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録していること(実績報告時までに)
助成金額

従業員規模によって変わります。

  1. 常用する労働者が2人以上30人未満の企業

    助成金額:最大150万円
    助成率:3分の2

  2. 常用する労働者が30人以上999人以下の企業

    助成金額:最大250万円
    助成率:2分の1

募集状況・期間

2021年5月10日~2021年12月24日

詳しくは引用元の下記のサイトをご参照ください。

東京しごと財団「テレワーク促進助成金」
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/03-telesoku.html

【中小機構】IT導入補助金

概要

バックオフィス業務の効率化やデータを活用した顧客獲得など生産性向上に繋がるITツールの導入を支援します。

対象の企業

飲食、宿泊、小売・卸、運輸、医療、介護、保育等のサービス業の他、製造業や建設業等の中小企業等。業種・組織形態別に、資本金と従業員数の上限が異なります。

支給対象の取り組み

通常枠とは別に、低感染リスクビジネス枠が新設されました。
下記の4つの類型があり、類型毎にことなりまます。

  • A類型(通常枠):業務工程や業務種別で1つ以上のプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールを導入すること(賃上げ目標達成は必須ではないですが、達成したら加点されます)。
  • B類型(通常枠):業務工程や業務種別で4つ以上のプロセス要件を満たすものであり、労働生産性の向上に資するITツールを導入すること(賃上げ目標達成は必須)。
  • C類型(低感染リスクビジネス枠): 通常枠の条件を満たしたうえで、複数のプロセス(販売管理と労務など)を⾮対面化・連携 し、一層の生産性向上を図るITツールの導入を導入すること。
  • D類型(低感染リスクビジネス枠):通常枠の条件を満たしたうえで、生産性向上のために、テレワーク 環境の整備に寄与するクラウド型のITツールの導入すること。
支給条件

下記の提出が必須条件です。

  • 労働生産性向上目標を提出提出すること
    1年間で3%以上、3年間で9%以上の労働生産性向上目標を提出すること
  • 賃上げ目標を提出すること
    事業計画期間における従業員の給与総額を毎年1.5%増加する計画を作成すること(類型による)
  • 最低賃金が「地域の最低賃金+30円以上」であること
助成金額

類型ごとに異なります。

  1. A類型

    補助率:1/2以内
    補助金申請額:30万~150万円未満

  2. B類型

    補助率:1/2以内
    補助金申請額:150万~450万円以下

  3. C類型

    補助率:2/3以内
    補助金申請額:30万~450万円以下

  4. D類型

    補助率:2/3以内
    補助金申請額:30万~150万円以下

募集状況・期間

現在3次応募の受付中。締め切りは2021年9月30日の17時まで。

詳しくは引用元の下記のサイトをご参照ください。

独立行政法人中小企業基盤整備機構「テレワーク促進助成金」
https://www.it-hojo.jp

まとめ

これまで見てきたように、働き方改革が徐々に進んできた中で、コロナ禍はそれを一気に推し進めた感があるます。現時点でテレワークを導入されていない中小企業の方はぜひ、助成金を活用してシンクライアント・仮想デスクトップ等のテレワークを実現させる技術の活用をお勧めします。